introduction

歌旅劇場版とは

2007年に全32公演、約10万人を動員した、80年代ヒットの「糸」「御機嫌如何」から「宙 船(そらふね)」や「一期一会」、「地上の星」、「ファイト」まで、ヒットソングで構成されたLIVE「歌旅」を今回5.1chサラウンドで再現された劇場公開版。

あなたに出会えてよかった

中島みゆきの作品のラインアップには、言ってみれば"謎"があった。
オリジナルアルバムは、驚異的としか言いようがないほどにコンスタンスに発表されている。ベストアルバムやシングルコレクション、あるいは、カバーアルバムやトリビュートアルバムなど企画性の強いものも様々な形で世に出ている。
映像で言えば、彼女のライフワークの「夜会」は、殆どの演し物が作品化され、会場に足を運べない人たちでも楽しむ事が出来る。もっと言えば、客席でご覧になった方でも違う楽しみ方が出来るくらいに細かい気遣いとともに発表されている。

なのに、である。ライブ作品になると極端に少ない。「夜会」とほぼ交互に行われているにもかかわらずだ。
ライブアルバムは87年の「歌暦」、05年の「中島みゆきライブ!Live at Sony Pictures Studios in L. A.」、08年の「歌旅~中島みゆきコンサートツアー2007」の3作品しかない。ライブ映像となると「中島みゆきライブ!Live at Sony Pictures Studios in L. A.」と「歌旅~中島みゆきコンサートツアー2007」の2作品しかない。
更に付け加えれば、「歌暦」は、86年の12月に両国の国技館で行われた四日間の公演を納めたものであり、「中島みゆきライブ!」は、ロサンジェルスの映画用のスタジオで外人ミュージシャンを主体にしたスタジオライブだった。つまり、通常のコンサートツアーを記録したライブ映像は、この「歌旅」が唯一ということになるのだ。
前置きが長くなっているかもしれない。でも、今回映画館で上映されようとしている作品が、どのくらい貴重なものなのかはお分かり頂けるのではないだろうか。

なぜツアーのライブ映像がないのか。
彼女はその理由を「ツアーは一期一会」だからと語ったことがある。

ライブに重きを置くアーティストの誰もが口にするようにコンサートツアーは「生もの」だ。彼女だけでなくステージに上がっているミュージシャン全員の体調や精神的なテンション、会場の天井の高さや壁の吸音性の違いなどの音楽的環境、最も重要な構成要件である客席の反応、、、、。どのツアーでも一本とて同じライブは存在しない、ということになる。それらを全てクリアしたライブ作品は不可能、ということがあった。
この「歌旅」は、2007年のツアーを納めたライブ映像だった。2005年にデビュー30周年を迎えてから行われた最初のツアーは初めてそうした記録の対象になった。それは演奏も含めて「やっとどこの会場でも変わらない」というクオリティに到達したからでもあった。
どの会場で見た人も「そうだったね」と思える完成されたライブ。それは見る側だけではない。演る側にとってもそう思えるツアーが出来るまでに30年を要したことになる。
曲目を見て欲しい。30年の軌跡を輪廻のように紡いで見せた「ララバイSINGER」とデビュー曲「あざみ嬢のララバイ」を初めこの時点での最新アルバム「I Love You,答えてくれ」に至る代表曲の数々。ライブで見るベストアルバム以外の何者でもない。

2011年は、中島みゆきがこれまで歌ってきた人と人の絆や出会いと別れについて改めて光が当たった年にもなった。その象徴的な曲でもある「糸」が歌われる映像はこれしかない。
オリジナル作品は約3時間。曲の合間にはツアーの風景や移動中の表情も収められていた。それは彼女にとっての初のツアー映像だからでもあった。今回の映画館上映では、その部分は省かれて演奏シーンのみが約2時間に再編集されている。

映画館で見る中島みゆき、映画館で聞く中島みゆき。歌を聴くだけではない。指の先や目の動き、言葉を伝えるだけに止まらない表情豊かな歌の力。CDともDVDとも、もちろん「夜会」とも違う大画面での「歌のドラマ」に打ちのめされる機会は二度とないかもしれない。

中島みゆき「歌旅劇場版」委員会

協力

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